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母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね 

また、松田優作主演です。

「人間の証明」
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1977年、東映。製作は角川春樹事務所です。
角川作品なのですが、内容は暗くやや重い作品で角川にしては珍しいほうですね。
原作は森村誠一の同名小説で社会派といわれるジャンルの推理小説です。

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「キスミーに行くんだ」ハーレムを飛出した黒人青年ジョニーは、東京のホテルの42階直行エレベーターの中で刺殺体で 発見される。「西条八十詩集」と 「ストウハ…」という最後の言葉を残して。その頃、42階では女流デザイナー八杉恭子のファッションショーが催されていた。棟居刑事らはニューヨーク市警 と共に事件を捜査する。キスミーとは?ストウハとは? ジョニーは母に会うために日本に来たのでは…。推理はめぐり、捜査が進むにつれて浮び上がる八杉恭子の影。新しい事実が掘り起され、また意外な事件が生ま れてゆく。父と子、母と子、男と女の愛が見えない糸に絡み合あう、という内容。

「犬神家の一族」につぐ角川映画の第2弾として製作されました。脚本を一般公募したり、映画俳優としてはまだ未知数だった松田優作を主演に起用したり、ジョニー役のジョー山中に主題歌を歌わせたりと話題の豊富な映画でした。角川の十八番、「メディアミックス」の宣伝効果も十分発揮され、大ヒットの映画になりました。
「Mama~、Do you remember~♪」の主題歌は耳にしたことがある方も多いでしょう。

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戦争という大きな動乱の後に起きる、悲しい出来事の数々と人の愛と憎しみが引き起こしてしまった事件。何かを考えさせられる映画です。
また、西条八十の「麦藁帽子」の詩がこの映画の重要な要素になっています。

母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね?
ええ、夏碓氷から霧積へいくみちで、渓谷へ落としたあの麦藁帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
ぼくはあのときずいぶんくやしかった。
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき向こふから若い薬売りが来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。
だけどたうたうだめだった。
なにしろ深い谷で、それに草が背丈ぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき旁で咲いていた車百合の花は、もう枯れちゃったでせうね、
そして、秋には、灰色の霧があの丘をこめ、あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかもしれませんよ。
母さん、そしてきっといまごろは
今晩あたりは、あの谷間に、静かに霧が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光ったあの伊太利麦の帽子と
その裏にぼくが書いたY・Sといふ頭文字を埋めるやうに、静かに寂しく。

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2時間以上の作品なので、中盤(棟居がアメリカに行くあたり)ですこしだれてしまうのは否めませんが、八杉恭子の悲しい愛と棟居刑事の激しい憎しみのぶつかりがよく描かれています。

こころに残ったのは、息子が死んだという知らせを受けた恭子が胸の内をさらけ出すシーンです。ここでも西条八十の詩が効果的に使われてます。
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松田優作の演技というよりも、原作がよく出来ているという感じですかね・・・演技はみなさんすばらしいですよ。

この映画は豪華な出演者も魅力的ですよ。
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左:森村誠一(原作者)
中:夏八木勲、范文雀
右:地井武男
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左:峰岸徹
中:鈴木ヒロミツ
右:竹下景子
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左:大滝秀治、佐藤蛾次郎
中:坂口良子
右:鈴木瑞穂
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左:北林栄谷、西川峰子
中:長門裕之
右:三船敏郎

ほかにも、深作欣ニ監督や室田日出男さん、伴淳三郎さんなども出てます。
すごいメンバーです!当時で6億もかけた映画は配役もスゴイ!

ちょっと長い映画ですので、涼しくなった秋の夜長にもゆっくり鑑賞するのもいいのではないでしょうか。

ラストは非常に美しいです。
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「峠の釜飯」で有名な群馬の横川駅もチラリと出ます
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作品データ
作品名 人間の証明
公開 1977年
配給 東映
出演 松田優作
岡田茉莉子
鶴田浩二
ハナ肇
岩城滉一
ジョー山中 ほか
監督 佐藤純彌
時間 132分
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